iDeCoって聞いたことあるけど、何だろう
2016年後半から2017年前半に掛けて、iDeCoが非常に盛り上がりました。
最近は一段落した感がありますが、まだまだお得な制度に変わりありません。
まだ知らない方も、ここで基礎的な内容を理解しておきましょう。
iDeCoとは、個人型確定拠出年金のことで、自分で作る年金制度と言われています。
毎月一定額を積み立て、金融商品を自ら運用していきます。
運用とは言っても、元本保証の商品を選択することも可能です。
そして、60歳になったタイミングで運用結果を自分年金として引き出すことができます。
何がお得なのか、3つのメリットを中心にご紹介します。
年金制度とiDeCoの対象者
iDeCoは、対象者が限られています。
マネックス証券より画像を引用させて頂きますが、
職業ごとに加入できる年金の種類は決められています。
2017年1月より、上記の方々がiDeCoの対象となりました。
これが冒頭に記載した、2016年後半からiDeCoが盛り上がった理由です。
それ以前は、第一号被保険者と企業年金のない第二号被保険者のみが対象でした。
対象者が拡大することで、公務員やほぼ全てのサラリーマンが対象となりました。
一方で、iDeCoに加入できない方は、以下の方々です。
- 60歳以上の方
- 海外にお住まいの方
- 企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)を実施している企業でマッチング拠出が利用できる方
1、2点目については、ご理解頂けるかと思います。
iDeCoは、60歳までに日本国内で準備する自分年金です。
3点目は、お勤めの企業で企業型DCを導入しており、
拠出額に自らの給与から上乗せできるマッチング拠出の制度が利用できる方です。
このケースは、iDeCoと内容が重複するため、加入することができません。
企業型DCのマッチング拠出をご利用されている方については、ご安心ください。
iDeCoよりも、ぐっとお得な制度が利用できているはずです。
3つの節税メリット
iDeCoの節税メリットは、以下の3点です。
- 積立額に応じて所得税・住民税が減税される
- 運用によって発生する利益が非課税となる
- 受取時、一定額まで非課税となる
いずれも大きな節税に繋がります。
積立額に応じて所得税・住民税が減税される
マネックス証券の案内文によると、年収650万円の会社員が
毎月23,000円の掛け金を積み立てた場合、1年間で82,800円も所得税・住民税が安くなるそうです。
これは、積み立てた掛金全額が所得控除の対象となり、課税所得が減ることで納税額が少なくなります。
自分年金を積み立てているのに、その掛金自体が非課税となるなんて、すごくお得ですよね。
年金を積み立てつつも、所得を得ていないようなものです。
iDeCoは年末調整もしくは確定申告によって、小規模企業共済等掛金控除として控除できます。
これが節税に繋がる1つ目のメリットです。
運用によって発生する利益が非課税となる
通常、株や投資信託などの金融商品から得た利益に対しては20.315%の税金が掛かります。
iDeCoでは、運用で得た利益が非課税となります。
これは、NISA(つみたてNISA)やジュニアNISAと同様ですね。
35歳の方が毎月12,000円を積み立てて年3%で運用を行うと、以下の金額となります。
項目 | 金額 |
---|---|
資産到達額 | 約535万円 |
積立元金 | 360万円 |
25年間で発生する運用益 | 約175万円 |
節税額 | 約35万円 |
25年も年3%で運用すれば、約175万円が利益として発生します。
長期の運用は、時間が一番大きな武器になりますね。
たった3%ずつの利益でも、25年という時間を積み立てることで大きな結果を得られます。
そして、同じ運用でも、iDeCoで運用した場合は、運用益が非課税となります。
その額、約35万円。
運用益の約175万円の20.315%分がそのまま節税額(課税時との差額)です。
受取時、一定額まで非課税となる
60歳以降に受け取る資産を老齢給付金といいますが、受け取る方法は、2つあります。
「一時金」での受け取りと、「年金」での受け取りです。
それぞれ退職所得控除、公的年金等控除の対象となり、控除の対象となります。
正直、まだiDeCoの出口戦略までは考えられていません。
それでも、受け取り時も控除が発生するということは覚えておいて損はないと思います。
iDeCoのデメリット
とてもお得なiDeCoですが、デメリットも3つあります。
- 60歳まで運用中の資産を引き出せない
- 口座開設・維持に意外と手数料がかかる
- 口座の移管が面倒
60歳まで運用中の資産を引き出せない
これは、大きなデメリットです。
一度積み立てを開始すると、よほどのことがない限り引き出せなくなります。
どうしても積み立てができない場合には積立を一時中断することもできますが、
引き出すことは不可能です。
iDeCoの積み立ては、余裕資金で行えるようになることが理想ですね。
老後資金として、絶対に使わない金額として積み立てる覚悟が必要です。
少なくとも、無理をして積み立てることはリスクがあると考えます。
口座開設・維持に意外と手数料がかかる
iDeCoでは口座開設・維持に、それぞれ手数料が掛かります。
金融機関によって、金額の多寡は多少異なります。
まずiDeCoに加入する時に最低でも2777円を、運用期間中も月額167円を支払います。
そして、証券会社次第では、さらに手数料を取られるケースがあります。
同じiDeCoという制度でありながら、金融機関ごとに特色があります。
長丁場のお付き合いとなる制度であることから、きちんと調べてから始めたいですね。
口座の移管が面倒
これは、あまり関わる方は少ないかとは思いますが、
iDeCoで開設した口座は他の金融機関に移管することも可能です。
ですが、その手続きは、大変面倒です。
前述の手数料が高いケースや、iDeCoの商品に不満がある方は、
口座の移管を検討することも必要かなと思います。
iDeCoを始めるメリットが少ない方
iDeCoについては、以下の方々はメリットが少ないと思います。
メリットをご紹介した後で記載するのもいかがなものかとは思いますが、念のため。
- 60歳まであまり時間が残されていない方
- iDeCoは長期間の運用が特徴ですので、残り期間が少ない方はメリットを享受できない可能性があります。
- 専業主婦(主夫)の方
- 所得税・住民税が掛からない専業主婦(主夫)の方は、節税メリットが少ないです。それでも、運用益の非課税は強力ですが。
上記の方々は、iDeCoよりもNISAとつみたてNISAをおすすめします。
その方が、自由に運用を行うことができます。
最後に
iDeCoの概要について、ご紹介しました。
この制度を利用しているかどうかで、所得税・住民税を年間5万円以上の節税が可能です。
60歳までの期間によっては、最大40年間も節税できるのは大きな強みですね。
その上で、運用益も非課税となります。
ただし、金融機関による手数料や商品の差も激しいため、事前の勉強が必須です。
きちんと勉強した上で、口座開設や運用を始めたいですね。
勿論iDeCoも投資ですので、自己責任でお願いします。
適度なリスクを背負うことで、60歳を迎えるタイミングで笑えるようになりたいですね。
- 作者: 山崎元
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2017/06/10
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る